チキンジョージ40周年記念INTERVIEW-2

円道シャーク一成×児島勝(チキンジョージ)
聞き手 Fancy Koh(THE TANPENS)

2020.11.9.「円道シャーク一成デビュー40周年ライブ」終演後楽屋にて

(円)=円道シャーク一成 (勝)=児島勝

―― チキンジョージも40周年。円道さんも40周年。同期ですよね?

(円)「こことね(笑い)ずいぶん若いけどね(笑い)」

(勝)「もう大先輩」

(円)「いくつ?」

(勝)「僕ね、58.兄貴は還暦」

―― 最初、どういう出会いだったんですか?

(円)「チキンジョージ」

(勝)「最後の(曲)(註1)のときだから」

(円)「82年」

(勝)「そう82年」

(円)「デビューは80年だから。そのころは事務所が仕切ってて、チキンジョージはやってなかった。二枚目のアルバム出すときに」

(勝)「だからたいがい長い。ヴィーナスハイウェイのね」

(円)「ひさしぶりに何年かぶり、頭ウルっと来ちゃって。なんか歌えなくなるんだけど。ちょっと久々にきたなあ。いろんな思いがさあ、このステージには、スピリチュアルユニティというか、なんか降りてくるんです。プロとしてはよくないことだけど、なんか郷愁が通り過ぎるんですよね」

(勝)「地震があったり、なんやかんやで、ねえ」

(円)「この40年、ほんと考えられへんいろいろあって」

(勝)「チャーリーさんがいてたり、SHOさんがいてたり、円道さんのまわりに」

(円)「神戸というのはほんととびぬけた音楽エリアだったんですよ。洋楽に関しては。でもここ(チキンジョージ)はさっきも言ったけれど(註2)みんなミュージシャンに愛されてるよ。ミュージシャン・コンシャス。もう気持ちはミュージシャンやから。ノルマをとってするところ、お金さえ払えば出られるところとは違って。ここはアマチュアのころから、出るのが目標、憧れ。だからここは、ミュージシャンが絶対つぶしたらあかんと思っている。格が、魂の位が違う」

(勝)「ありがたいです」

(円)「なによりすごいのは、受け入れ体制。ここで一番偉いのはミュージシャンやと暗に示してくれて。そこが一番すごい」

――ノルマとかとったことはないんですか?

(勝)「ああ、ない、ない。ノルマはせえへん」

(円)「いい悪いやなくて、そういう新しいビジネススタイルというだけで、ただここは、絆で結ばれている。育ててもらったという気持ちがあるし。大阪にもいくつかあったんだけどなくなってしまったし」

――もうそういうライブハウスって少なくなっているんじゃないですか?

(勝)「ほかのライブハウスのことは…」

――ああ、そうですね。

(円)「ある意味、勝がいるからってのがある」

(勝)「いやあ」

(円)「おれはお世辞でも何でもなくて。彼の人柄でミュージシャンが来てる。これはあるよ。ハコの顔は彼や」

――それ、書いていいですか?

(勝)「照れるやん」(一同笑い)

(円)「いやあ、飯屋でもそうでしょ。メシはうまいまずいじゃなくて好きか嫌いかでしょ。そこのおやじのこと好きかどうかでしょ。いい悪いじゃない。ほかのライブハウスと比べることはできんけど好きでやってくる。音楽ってそうじゃないですか。いい悪いじゃなくて、好きか嫌いか。なんとか歯を食いしばってやってもらわな」

(勝)「歯食いしばって、そういうのはあります。そんな僕ら、来ていただくだけでありがたい」

――勝さんのほうから、円道さんになにかあれば

(勝)「いやあ、ほんと、ずっと助けてもらってて。東京におられる時から、神戸に返ってきたときはやってもらってて。それで東京のつながりのミュージシャンが、今日のそうる透、バーベQ和佐田、とかいろいろそういうつながりが、ライブハウスのつながり、というのがここにあってありがたいなあと」

(円)「ライブハウスに顔をだすっていうのは、ミュージシャンラウンジっていうか情報交換の場所みたいになっているから生存確認にきたり」

(勝)「飲みすぎてないかあ?って」(一同笑い)

――最後にチキンジョージ40周年に送る言葉を

(円)「チキンジョージという店はこれからも人と違って、物体としてハコとして続いていくだろうし。アポロなんかもね、何十年もやっているし。物理的に100年続けさそうと思ったらそこにいる人の気持ち次第で続けられるですよね。やっぱり資本主義やからお金の問題で、東京オリンピックの関係で、すごく愛してたライブハウスがハコごとなくなったんだけど、そういうことがない限り、百年でもやっていけると思うんですね。もちろん百年後はもちろん俺らは生きてないけど、昔、黎明期におれたちがやっていたというのはレジェンドだから、絶対残してほしい。続けてほしい。今はデジタルで配信で見られる。坂本龍一が言ってたんだけど、CDとか演奏を録音して、コピペしたものを、今の若い子は音楽やと思っている。でも本当は、弦の振動、空気振動を感じるのが音楽やと。これは正しい。なんでもかんでも資本主義やなくて、大きな会場でやることよりも音を大事にする気概のあるミュージシャンに愛されてるから。まあ心情的にはいろいろあると思うけど。勝たちががんばって次の世代にバトンタッチしていって。おれらはミュージシャンとして。でもまあがんばりすぎないで、念のため、(チキンジョージを)やってもらえますか?(笑い)」

(勝)「いやあ、いい休憩かもしれませんね。コロナで」

(円)「念のため生きてるという」(一同笑い)

――お時間になりました。今日は本当にありがとうございました。

Photo
※註1:VENUS BRIDGE HIGHWAY(アルバム「ミッドナイトランナー」収録)「円道シャーク・一成デビュー40周年ライブ」で最後に演奏された曲
※註2:リハーサル前のインタビュー。詳細はフリーペーパー「LIVE ING KOBE」にて

インタビュー収録:2020年11月9日(月)「円道シャーク一成デビュー40周年ライブ」終演後楽屋にて